マルニ木工の代表作「HIROSHIMAアームチェア」は、デザイナー深澤直人氏による傑作として、世界的に認識されている高級家具です。
Apple本社やデザインホテルなど、一流施設での採用実績を持つこの椅子は、美しさと機能性を兼ね備えた「憧れの一脚」として多くの人々に愛されています。
本記事では、実際の座り心地の詳細、正しい座り方、そして購入時に知っておくべき重要なポイントについて、徹底的に解説します。
HIROSHIMAアームチェアとは?

HIROSHIMAアームチェアは、2008年にマルニ木工から誕生した、日本が誇るプロダクトデザインの傑作です。広島に本社を置くマルニ木工と、世界的に有名なデザイナー深澤直人氏のコラボレーションにより実現した、この椅子は、モダニズムと和の美学が融合した独特の表情を持っています。
背もたれからアームへと滑らかに続く一体型の曲線が最大の特徴で、その曲面は「トカス」と呼ばれる職人技によって丁寧に仕上げられています。この技法は、木の表情を柔らかくし、山の稜線のようにぼかす工程を意味し、原寸の試作品を繰り返し検証しながら完成に至りました。幅56cm、奥行53cm、高さ76.5cmというサイズは、日本人の体格に最適化されており、座面高さ42.5cm、アーム高さ65.5cmという設定も、使い手の快適さを第一に計算されています。
広島の工場で一脚一脚、職人の手によって仕上げられるこの椅子は、ビーチ、オーク、ウォールナットなど、6種類の上質な木材から選択でき、ウレタン仕上げまたはオイル仕上げの2つの塗装方法が用意されています。
HIROSHIMAアームチェアの座り心地は?
HIROSHIMAアームチェアの座り心地は、その何十年もの積み重ねられた設計知識と職人技から生み出された、まさに傑出した品質を誇ります。実際のユーザーレビューや専門家の評価から見えてくるのは、この椅子が単なる家具ではなく、使い手との対話を通じて完成する「生きた設計」だということです。
ユーザーのレビューと体験談
絶妙なバランスが生む快適感
最も多く聞かれるユーザーの声は「座り心地の良さ」についてです。その理由は、接地面の豊かさにあります。背中が触れる背もたれ、お尻が接する座面、肘が置かれるアーム、そしてこれらのバランスが「絶妙」に調整されているため、身体がいかなる姿勢でも自然に支えられる感覚を得られます。マルニ木工の販売員が実際に使用した感想では、「人が座るうえで接地面が多く、背当たり、座面、アームのバランスが絶妙と感じた」と述べられており、この評価は設計の洗練性を物語っています。
長時間座っていても疲れない設計
見た目の美しさだけでなく、座り心地も一流です。背中をやさしく支えるカーブと、広めの座面が特徴で、長時間座っていても疲れにくい設計となっています。特にアーム付きモデルは、肘を置いた時の安心感が格別で、アームに肘を置くと、ふくらみを持たせたアームの優しく滑らかな手触りを感じることができます。ユーザーからは「ソファに座る時間が減る」「以前よりダイニングテーブルで過ごす時間が増えた」といった声も上がっており、座り続けたくなるほどの快適性が証明されています。
体格に関わらず、誰もが快適に座れる設計
大柄な方でもしっかり体を預けられる安心感があり、さらに小柄な方にはゆったりとしたくつろぎ感を提供します。座面が広いため、まっすぐに座っても、斜めに座っても、妙に背もたれとアームに体がフィットしてくれるという、多様な座り方に対応できる柔軟性も魅力です。180cm台の大型体格でも160cm台の小柄な体格でも、それぞれが「ちょうど良い」と感じられる稀有な設計となっています。
ダイニング使用を超えたラウンジ機能
食事をする時間には自然と前に出て前傾姿勢になり、食べ終わった後は深く腰をかけてゆったりとくつろげるという、動きに合わせた使い分けができるのも魅力です。つまり、ダイニングチェアとしての機能と、ラウンジチェアとしての快適さが同一の椅子に共存しており、使用シーンを限定せず活用できます。
ただし注意点:板座は長時間では不快感も
しかし、全てのユーザーにとって完璧な椅子というわけではありません。美しい板座が魅力である一方、長時間座っていると人によってはお尻が痛く感じることがあります。特にクッションなしで使用する場合には注意が必要で、快適さを重視する場合は、クッションやファブリック仕様のモデル(張座)も検討すると良いでしょう。この点を考慮して、マルニ木工ではカバーリング仕様の張座モデルも用意しており、ドライバー1つで簡単に座面カバーを張り替えることができます。
HIROSHIMAアームチェアの正しい座り方
HIROSHIMAアームチェアの座り心地を最大限引き出すには、椅子の設計意図を理解した座り方が重要です。この椅子の設計哲学は「自然な座り心地」にあるため、意識的に正しい姿勢を取る必要はありませんが、いくつかのポイントを知ることで、より快適な使用が可能になります。
座面の奥行きが広く設計されているため、座面の手前に座る場合と奥に座る場合で、異なる快適性が得られます。食事や作業をする場合は、前傾姿勢となるよう座面の手前寄りに座ることで、テーブルとの最適な距離が自動的に形成されます。一方、読書やリラックスを目的とする場合は、座面の奥深くに座り、背もたれに背中をしっかり預けることで、究極のくつろぎが実現します。アームの高さが65.5cmに設定されているのは、着座時に肘を自然に置いた時に、肘の高さが適切になるように計算されています。無理に肘を上げ下げする必要はなく、腕をリラックスさせた状態でアームに託してください。
姿勢に関しては、この椅子の特筆すべき特徴として、姿勢が崩れてきても背もたれとアームがやさしく受け止めてくれるという安心感があります。つまり、完全に直立した座り方を強要せず、自然なリラックス状態での座姿勢を許容する設計となっており、これが長時間の座り続けが可能になる理由の一つです。
HIROSHIMAアームチェアがおすすめな人
その①:デザイン性と機能性の両立を求める人
HIROSHIMAアームチェアは、ミニマルで普遍的なデザインが特徴です。余計な装飾を排したシンプルなフォルムは、北欧モダンから和モダン、さらにはコンテンポラリーなど、あらゆるインテリアスタイルに自然に溶け込みます。深澤直人氏によるデザインは、一度見たら飽きが来ない長く使えるデザインとして高く評価されており、実際に発売から15年以上経つ現在でも支持され続けています。インテリアに格を与え、「上質な暮らし」の演出が可能な家具を探している方にとって、この椅子は最高の選択肢となるでしょう。
その②:長時間座り続ける習慣のある人
読書、執筆、リモートワークなど、長時間座り続ける環境にある人にとって、HIROSHIMAアームチェアは最適な投資です。背中をやさしく支えるカーブと、広めの座面が特徴で、長時間座っていても疲れにくい設計となっています。多くのユーザーから「長時間の読書や作業にも最適」という声が上がっており、ソファよりもこの椅子での時間が増えたという報告も少なくありません。特にアーム付きモデルは、肘を置いた時の安心感が格別で、姿勢の安定性が求められる作業環境で威力を発揮します。
その③:資産価値のある家具を求める人
実は、HIROSHIMAアームチェアは中古市場でも人気があり、高値で取引されることも少なくありません。これは「長く愛されるデザイン」と「確かな品質」があるからこそで、もし将来的に手放すことになっても、価値が下がりにくいのは大きなメリットです。マルニ木工の製品は特定製品について3年間の品質保証を行っており、正しくメンテナンスすれば数十年の使用が可能です。つまり、単なる一時的な消費ではなく、「人生の一部となる資産」として考えられる方に、この椅子は特に勧められます。
HIROSHIMAアームチェアがおすすめできない人
その①:クッション性を最優先にする人
美しい板座が魅力であるHIROSHIMAアームチェアですが、長時間座っていると人によってはお尻が痛く感じることがあります。特にクッションなしで使用する場合には注意が必要です。快適さを最優先にしたい方は、まずは張座タイプ(クッション付き)の購入を検討すべきでしょう。また、既に板座を購入した場合でも、別途クッション材の追加購入で対応可能ですが、追加コストが発生することは念頭に置いておく必要があります。
その②:メンテナンスの手間を避けたい人
オイル仕上げを選択した場合、年に1~2回のオイルメンテナンスが推奨されます。このメンテナンスは全行程で約30分程度と比較的簡単ですが、定期的な手入れが必要であることに変わりはありません。面倒だと感じる方はウレタン仕上げを選択することで、メンテナンス負荷を大幅に減らすことができます。ウレタン仕上げは耐水性・耐汚性に優れており、お手入れがラクで、シミになりにくいため、子どものいる家庭でも安心です。しかし、オイル仕上げと比べると質感がやや硬質に感じることもあり、この選択には一長一短があります。
その③:予算が限定的な人
HIROSHIMAアームチェアは高級家具の一種であり、購入価格は決して安くありません。例えば、板座仕様のウォールナット材モデルでも相応の金額が必要であり、最も廉価なビーチ材でもそれなりのコスト投資が求められます。「椅子としての基本機能が満たされれば良い」という方や、予算に限りがある方にとって、この価格帯は過度な投資となる可能性があります。ただし、中古市場での購入を検討することで、新品購入よりも低コストで購入できるオプションがある点は、検討に値する情報です。
HIROSHIMAアームチェアのメンテナンス方法
長く愛用するための正しいメンテナンスは、この椅子の価値を保ち続けるための必須条件です。仕上げ方法によって異なるメンテナンスアプローチが必要となります。
その①:オイル仕上げの定期メンテナンス
オイル仕上げは「裸の肌が出ているのと同じ状態」とマルニ木工では表現します。日本の冬は寒く乾燥しており、室内も暖房で乾燥するため、木肌も人間の肌同様に乾燥します。これを防ぐのがオイルメンテナンスです。年に1~2回のメンテナンスが推奨されており、作業手順は以下の通りです。
まず、240番の紙ヤスリを使用して、汚れの目立つ部分をやさしく削ります。この工程では、表面を撫でるようにヤスリをかけることが重要です。削った後は、乾拭きまたは固く絞った布で木粉を拭き取ります。次に、家具用オイルを乾いた布に適量染み込ませ、木目に沿って満遍なく塗り込みます。HIROSHIMAアームチェアの場合、肘掛け部分や背もたれはもちろん、肘掛け部分の裏側にも塗り忘れのないよう注意が必要です。全体がしっとりとしたら、作業はほぼ完了です。全行程は約30分程度で、オイルを塗布した椅子は12~24時間、座らないようにしましょう。重要な注意点として、使用した布は必ず水に浸してから破棄してください。家具用オイルは発火性が高いため、そのままゴミ箱に捨てると着火の危険性があります。
その②:ウレタン仕上げの日常的なお手入れ
ウレタン仕上げは、耐水性・耐汚性に優れており、日常的なメンテナンスはそこまで負荷が高くありません。基本的には、乾いた布で定期的に拭き取る程度で十分です。飲み物をこぼした場合は、素早く拭き取ることでシミを防ぐことができます。一度シミが付いてしまった場合は、無理に除去しようとせず、木の味わいとして受け入れることも、愛用品としての美学の一つです。ただし、オイル仕上げと比べると傷がつくと補修が難しい場合があるため、日頃から慎重に扱う必要があります。
その③:カバーの張り替え(張座タイプのみ)
張座タイプを購入した場合、カバーリング仕様になっているため、自宅で簡単に座面カバーを張り替えることが可能です。必要な工具はプラスのドライバーのみで、4か所のネジを緩めて座面を取り外し、マジックテープで留められているカバーを交換するだけです。この作業は比較的簡単で、案外簡単なことがわかると思います。季節の変わり目にカバーを変えて、模様替えをするという楽しみ方も可能です。
HIROSHIMAアームチェア購入のポイントと注意点
購入前に、確認しておくべき重要なポイントが3つあります。
その①:仕上げ方法(オイル仕上げ vs ウレタン仕上げ)の選択
仕上げ方法は、椅子の使用体験を大きく左右する要素です。オイル仕上げは、木の質感や温もりをダイレクトに感じることができ、経年変化で味わいが深まりやすいというメリットがあります。一方、定期的なメンテナンスが必要で、水や汚れに弱いというデメリットがあります。
ウレタン仕上げは、耐水性・耐汚性に優れており、お手入れがラクで、シミになりにくいというメリットがあります。子どものいる家庭でも安心です。ただし、オイル仕上げと比べると質感がやや硬質に感じることもあり、傷がつくと補修が難しい場合があります。
購入前には展示品を実際に触れて、両仕上げの質感の違いを確認することを強くお勧めします。
その②:木材選択(6種類から選べる)と経年変化への向き合い方
マルニ木工は6種類の木材からの選択肢を提供しており、各木材には異なる特性があります。ウォールナット材は深みのある美しい木目を持ちますが、個体による違いも表れやすく、経年変化で少しずつ明るい色に変わっていきます。ビーチ材は最もリーズナブルで普遍的な魅力を持つ木材として評価されています。オーク材はしっかりとした木目が特徴です。
重要な理解として、受注生産のため木目はお選びただけませんが、自然の中で生まれたそれぞれの個性を愛おしむことが、この椅子を所有する喜びの一部だということです。つまり、完全に自分好みの木目を選べるわけではなく、自然の営みがもたらした唯一の組み合わせとの運命の出会いという側面があります。
その③:購入チャネルと保証内容の確認
価格設定に関して、マルニコレクションのHIROSHIMAは定価販売が厳守されているため、どこで購入しても基本価格は変わりません。ただし、楽天マラソンや0と5のつく日を併用すれば、ポイント還元を受けることができます。大きな金額なのでポイント還元も大きくなる可能性があります。
メーカーの保証期間は3年間であり、この期間内であれば品質上の問題に対する対応が可能です。ただし、テーブルからの落下など、通常の使用状況と異なる場合は保証対象外となることに注意が必要です。購入時には、保証内容を十分に確認し、正しい使用方法を理解した上で購入を進めることが重要です。
まとめ
HIROSHIMAアームチェアは、デザイン、座り心地、素材品質、そしてリセールバリューに至るまで、すべての側面で優れた「憧れの一脚」です。深澤直人氏による完璧なデザインと、マルニ木工の確かな技術が結実した傑作である本製品は、単なる椅子を超えて、暮らしそのものを豊かにする存在となります。
本記事で述べてきた通り、座り心地の素晴らしさ、正しい座り方、そして購入時の留意点を理解した上での購入決定が、後悔のない選択につながります。メンテナンスは定期的に必要ですが、それは愛する家具との対話の時間でもあります。オーナーと共に歩んでいくこの特別な椅子は、年を重ねるごとに味わい深くなり、人生の思い出とともに色づいていきます。
長く愛用できる椅子を探している方、自分だけの特別な一脚を求める方にとって、HIROSHIMAアームチェアは最高の投資となるでしょう。購入前には必ず店頭で実際に座り心地を確かめ、自身の暮らしに合うお気に入りの逸品を見つけることをお勧めします。