柳宗理がデザインした「バタフライスツール」は、日本を代表する名作家具です。独特の蝶のようなフォルムで知られていますが、実際の座り心地や正しい使用方法について、購入前に知りたい方が多いはずです。
本記事では、バタフライスツールの実際の座り心地、メンテナンス方法から購入時の注意点まで、実際のユーザーレビューと専門的な知見をもとに詳しく解説します。
バタフライスツールとは?

バタフライスツールは、世界的に著名な日本の工業デザイナー・柳宗理がデザインした成型合板製のスツールです。2枚の成形合板が互いに支え合うような形態から「バタフライ(蝶)」という名称が付けられました。
1957年の発表以来、グッドデザイン賞やロングライフデザイン賞を受賞し、現在でも天童木工によって製造されている超ロングセラー商品です。素材には成型合板が使用されており、メープル(カエデ)とローズウッドの2種類の樹種が選べます。重量は約2.2~2.5kgと軽量で、耐荷重は約100kgと設計されています。
バタフライスツールの設計の肝となるのは、カンチレバー(片持ち)構造とトラス構造の組み合わせです。座面は中心部を固定部とした片持ち構造になっており、これにより適度な弾性—つまり心地よい座り心地が実現されています。一般的な「コ」の字形スツールと比べると、バタフライスツールは荷重が分散せず、安定した座り心地を保ちながら板厚を薄くしているのが特徴です。
バタフライスツールの座り心地は?
実際のユーザーからの評価は多岐にわたります。
デザイン重視のユーザーからは「このデザインがお気に入りです」「部屋のオシャレ度がぐっと上がります」という高い評価がある一方で、座り心地に関しては「座り心地が特別良いわけではない」という正直な声も聞かれます。
玄関で靴を履く時に使用しているユーザーは、「靴を履くのにちょうど良い座面の高さです。木が硬く感じるので、お気に入りの柄の丸座布団を乗せて使っています」と述べており、座布団を組み合わせることで実用性を高めている例が多いです。
長期使用者のレビューでは、「座り心地はとても柔らかく、でもしっかりとしていて、シュークロークの上の段にある靴をとる為に上に乗っても大丈夫です」という報告もあり、見た目以上の堅牢性が認識されています。10年以上の長期利用者も複数存在し、「設計に飽きたことがありません」という評価から、デザインの普遍性の高さがうかがえます。
座り心地は、バタフライスツールが主にインテリアオブジェ兼ちょっとした踏み台・スツール用途として設計されていることを考えると、長時間座るための椅子とは異なる位置づけであることが理解できます。むしろ、その独特な構造による適度な弾性は、短時間の使用には十分な快適性を提供しているのです。
バタフライスツールがおすすめな人
バタフライスツールは、その独特な特性から、特定の用途と嗜好を持つユーザーに最適な製品です。これから3つの向いている人の特徴を説明します。
その①:インテリア・デザイン好きな人
バタフライスツールの最大の魅力は、その圧倒的なデザイン性です。「部屋に置いてあるだけでデザイン・曲線が美しい」というユーザーの声が多数あり、インテリアオブジェとしての価値が高いです。和洋関係なく室内に馴染むため、ミニマリズムからボタニカルスタイルまで、幅広いインテリアコンセプトに対応します。特にモダンジャパニーズや北欧インテリアを志向するユーザーにとって、バタフライスツールはステートメントピースとなり得ます。
その②:玄関や靴を履く場所での使用者
実際のユーザーレビューからは、玄関での利用が非常に多いことがわかります。靴を履く時に腰掛けたり、ブーツの紐を結ぶ時に座ったり、持ち運びの良さから各場所に移動させたりという実用的な使用例が豊富です。座面高さ約35cmは、靴を履く際に最適であり、軽量(2.2~2.5kg)なため、女性一人での移動も容易です。
その③:名作家具への投資を考える人
バタフライスツールは、グッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞した歴史的名作です。長期保有による経年変化を楽しみながら、デザイン資産として保有することができます。10年以上の使用例が複数あり、耐久性が証明されています。特に、リプロダクション品ではなく天童木工の正規品は、資産価値を保ちやすい点が投資的メリットになります。
バタフライスツールがおすすめできない人
一方で、バタフライスツールが適さない用途があることも理解しておくべきです。以下、3つの向かない人の特徴を説明します。
その①:長時間座って作業したい人
バタフライスツールは、「ちょっと座る」ための設計です。短時間の使用を前提としているため、デスクワークで8時間座るなど、長時間の使用には向きません。座面が硬めであり、長時間の着座は腰や背中に疲労をもたらします。長時間作業用の椅子が必要な場合は、背もたれとクッション性を備えた専門的なオフィスチェアを選ぶべきです。
その②:リプロダクション品の質感に満足できない人
天童木工の正規品(¥57,200~¥74,800)とリプロダクション品(¥3,000~¥15,000)には、材料とクラフトマンシップに大きな差があります。本物のバタフライスツールに触れたことがあるユーザーからは、リプロダクション品について「それなりのクォリティ」「板の厚さが違うのかな」という指摘が聞かれます。見た目は似ていても、木材の質感、成形の精度、仕上げの品質が異なるため、本物の経験者にはその差が認識されやすいです。
その③:予算が限られている人
正規品の価格帯(¥57,200~¥74,800)は、一般的なスツール製品と比べると高額です。「とりあえず安く家具を揃えたい」という用途には不適切です。リプロダクション品という選択肢もありますが、上述の通り品質に不満が生じる可能性があります。予算が限定的な場合は、より廉価な選肢を検討すべきです。
バタフライスツールのメンテナンス方法
バタフライスツールは木製素材であり、適切なメンテナンスにより長期的な美しさを保つことができます。これから3つの具体的なメンテナンス方法を説明します。
その①:埃の除去と定期的な清掃
バタフライスツールの特徴的なデザインから、2枚の成型合板が合わさっている中心部に埃が溜まりやすいです。ユーザーからは「中心の部分に埃がたまるので半年に1回ほど掃除機のブラシで埃をすいとっています」という報告があります。掃除機のブラシアタッチメントを使用して、定期的に埃を吸引することが推奨されます。目安として、6ヶ月~1年に1回の清掃が標準的です。
その②:水分や汚れの拭き取り
玄関や洗面所で使用する場合、油ハネや水滴が付着することがあります。ユーザーの実体験では「濡らして固く絞ったタオルでさっとふいてあげると、綺麗になります」と述べられています。固く絞ったタオルを使用することで、木材に水分が浸透するのを防ぎながら、表面の汚れを効果的に除去できます。台所や洗面所での使用が多い場合は、月に1~2回の拭き取りが目安となります。
その③:長期保管時の湿度管理
5年以上の長期使用者からは「特にこれといった手入れをしている訳でもなく、木の部分が割れたりもせず」という報告がある一方で、木製素材であるため湿度管理は重要です。玄関やシューク ロークなど湿度が高くなりやすい場所での使用では、通風を確保し、極度の湿度上昇を避けることが木材の割れやゆがみ防止につながります。特に梅雨時期や冬季の結露には注意が必要です。
バタフライスツール購入のポイントと注意点
バタフライスツール購入時には、複数の判断ポイントがあります。以下、3つの重要な購入ガイドを説明します。
その①:正規品とリプロダクション品の区別
購入前に最も重要な判断は、天童木工の正規品か、リプロダクション品かの選択です。正規品は¥57,200~¥74,800の価格帯であり、デザイナー柳宗理との契約に基づき天童木工が製造しています。リプロダクション品は許可を得ず複製した非公式製品で、価格は格段に安いものの、品質・耐久性・資産価値において劣ります。
正規品のメリットは、品質保証、長期耐久性、経年変化の美しさ、そして中古市場での資産価値の保持です。「本物とは板の厚さが違うのかな」というリプロダクション品ユーザーのコメントから、材料選定と製造工程の差が認識できます。デザイン好きで長期保有を想定する場合は、正規品への投資が回収可能性が高いです。
その②:樹種の選択—メープルとローズウッド
バタフライスツールは2種類の樹種が提供されています。メープル(北米産カエデ)は明るいナチュラルカラー、ローズウッド板目は濃い茶色~黒褐色です。「茶色や黒色はシルエットの変化をより感じられる色合いなので、バタフライスツールのフォルムを楽しみたい方にはローズウッドモデルが特にお勧めです」という専門家の推奨があります。
色選択は、既存の床・壁・家具との調和を考慮して決定すべきです。玄関のアクセントにしたい場合はローズウッド、リビングに馴染ませたい場合はメープルという使い分けが有効です。実際のユーザーも「家の床や壁の色、質感を考えて濃い方(ローズウッド)にしました。家にぴったりのスツールです」と述べています。
その③:使用目的の明確化と空間検討
購入前に、「インテリアオブジェとして飾るのか」「実用的なスツールとして使用するのか」を明確にすることが重要です。デザイン重視なら、光が当たりやすい玄関正面やリビングの視点が入る場所が最適です。実用性重視なら、靴を履く玄関や着替え所など、機能的な配置を検討すべきです。
バタフライスツールは軽量なため、配置変更が容易です。「気軽に置き場所を変えられる所が気に入っています」というユーザーの利点を活かし、季節や生活シーンに応じて柔軟に活用できます。サイズは幅42.5cm、奥行31cm、高さ38.7cm、座面高34cm程度であり、どの空間に置くかシミュレーションしてから購入することが失敗を防ぎます。
まとめ
バタフライスツールは、座り心地よりも「デザイン性と実用性の融合」を重視した名作家具です。カンチレバー・トラス構造による適度な弾性は、短時間の使用に最適な座り心地を実現しており、玄関での靴の脱ぎ履きやちょっとした踏み台として完璧に機能します。
正規品と確認し、樹種と配置を慎重に選択すれば、10年以上の長期的な満足度が得られます。長時間座りたい方や予算制約がある場合は不適切ですが、インテリアの質を高めたい、名作デザインに投資したいというユーザーには、強く推奨できる製品です。メンテナンスも埃の除去と定期的な拭き取り程度で容易であり、経年変化を楽しみながら末長く愛用できる家具として、バタフライスツールの価値は時間とともに増していくでしょう。