KIJINのPR担当の大迫です。
本日は、KIJINの代表取締役 兼、家具・空間プロデューサー、ストーリーデザイン責任者の石川が創業期からタッグを組む信頼おけるパートナーで、職人である大川賢一さんにインタビューをさせていただきました。
10年以上の付き合いということで、石川との掛け合いの中でもこれまでに創ってきた家具を通じての想いがひしひしと感じる1時間でした。
(お忙しいお二人のお時間だったので「30分」で…!と思っていたのですが、想像以上に興味そそるお話が多く1時間みっちりいただいてしまったのはここだけの話です。)
大川さんについて
職人歴16年、KIJINの創業初期から一緒に家具づくりをしてくれていて、他の工房では断られてしまうような細かい要望にも「ワクワク」しながら対応してくれる心強い職人さん。
元々は、株のトレーダーをやっていたが、ひょんなことから家具職人になったんだとか…!
好きな家具は「脚もの」ということで特に椅子を作るのが好きとおっしゃっていました。
家具には、「脚もの」「箱もの」というカテゴリがあり、脚ものは椅子やテーブルなど、箱ものは収納棚などが当てはまります。
脚ものは職人としてのこだわりを表現しやすく、好きな曲線を家具に落とし込めるのが何より魅力なんです。と、とてもニコニコしながらお話ししてくださいました。それだけで家具つくり、ものつくりがとてもお好きなんだなとほっこりした瞬間でした。
さて、ここから本題に移っていきます。
普段の家具つくり
ー 普段はどのような家具をつくっていますか?
普段は、テーブルや椅子のご依頼が多いです。
あとは、自分は特に多いのですが無垢材の家具の「修理」は本当に多くご依頼いただきます。実は、修理って請け負えるところ少なくて、重宝されているのかもしれません。
無垢でできた家具は使えば使うほど、馴染んできますし長持ちしやすいことから、想い出としても大事に「修理」しながら想い入れを大事にして使う方が多いんですよ。
家具をつくる上で大事にしていること
ー おしゃれな家具が安価で買える、買い替えも容易になってしまっているので、家具に「修理」ができるという発想はなかったです。大川さんが、家具を作る上で大事にしていることってありますか?
一番大事にしているのは、作り始める前のヒアリングの部分にしっかりと時間をかけることですね。
お客様にとって家具は大きなお買い物でもありますが、一方で初めてのお買い物であったりもするわけです。なんとなくのイメージはあるし、欲しいものも形も決まっているものの、その言語化って難しいんですよね。
なので、できるだけコミュニケーションをしっかり取るように意識しています。
- 普段どんなことを気にかけている方なのか
- お部屋の雰囲気やご本人の雰囲気
- その家具にどんな想いがあるのか
設計図にも落とし込みつつ、自分の出来上がりのイメージとお客様の感覚がちゃんと一致するのか何度もすり合わせをさせてもらうようにしています。
せっかくなら、理想を超えて良いものが届いて欲しいですね。
ー 家具とお客様への想いが温かいですね。そして石川と話しているような気がするくらい、家具やお客様に対しての想いの熱量が同じですね。そんなお二人はどんなご縁なんですか?
お互いに独立したタイミングくらいで、共通の知り合い経由で出会いました。石川の展示会にお邪魔したのがきっかけです。
石川代表について
ー 大川さんから見て、代表の石川はどんな方ですか?
「変な仕事持ってくる人!!」です。笑
冗談は置いといて、(本当に変な仕事は持ってくるんですけどね。)彼は、本当に木が好きでワクワクすることが好きだし、ワクワクできるものを作りたいそんな人ですね。
あとは、誰よりも周りの人に喜んでもらえることをしたいって思っているように思います。
自分ともワクワクする価値観が結構近いので、石川さんの持ってくる無理難題はとても面白くて即答でつくらせてもらっています。
例えば、家具の中に隠し扉や収納があったり、テーブルが床から浮いてたりするんですよ。どうやってその理想を叶えるかが自分の腕と経験の見せ所ですよね。頭を捻りながら大変ですがそれを創り上げていくことがやりがいだなって思います。
印象に残っている取り組み
ー ありがとうございます。お二人の共通点がたくさん見えてきました。大川さんの中で印象に残っている取り組みってありますか?
家具づくりって実はつくり始めると、単純作業が多いので早いんですけど、着手までの過程だったり、最後の微調整のところが実は印象に残ってたりします。
例えば、名古屋のお客様にカウンター収納やベンチを納品させていただいているんですが、フルオーダーの家具は現地で色々お伺いしたり、設置箇所全体の雰囲気を確認したりするので、何度も名古屋へ通いお住まいの感じやお客様のお人柄をイメージもインプットしながらお作りしたので印象深いです。
他には、亡き曽祖父の想いを引き継ぎ、新たな形に生まれ変わらせた、富山県にあるお茶室「松涛庵」というのがあるんですが、ここに納品したエポキシ樹脂とトチの一枚板を使ったテーブルは非常に印象に残っています。まずは、その空間に想い入れやストーリーが非常に強くあるその雰囲気を活かしつつ、感情を揺さぶられるようなそんな存在感のあるテーブルをイメージしてつくりました。テーブルだけではなく、その空間の家具を揃えておつくりしたのも、印象に残っている理由かもしれません。
あとは、家具づくりというよりは修理になりますが、桐箪笥の修理をした際にはお客様の反応が本当に息を呑むというか、本当に深く感動したのが伝わる反応をしてくださったので嬉しかったです。
やはり、修理というのは「困りごと」や「想い」があってご相談くださっていたりするので、新しくつくることよりも、お客様の感動は大きく感じます。
木の家具の魅力
ー 「人」が好きでその喜ぶ顔が見たい、そんな印象に感じました。その手段として木の家具があるのかもしれないですね。大川さんの考える木の家具の魅力ってなんですか?
経年変化が楽しめることと、使う事で味わいが出てくることや徐々に時間をかけてお家に馴染んでいくことが「無垢」を使った家具の魅力ですね。
例えば、人の住まなくなった家って朽ちていく事は皆さんにもイメージがつくと思うんですが、木の家具も一緒で、人が使い人と共に生活の中にあることでその家具には艶が出てくるし、魅力が増していくんです。
自然にある色味なので、落ち着く雰囲気を作れるのも魅力だと思います。
無垢材でつくった家具は、本当に長く使える家具なんですよね。なので、全員に使って欲しいわけではなくて、経年の変化を楽しめる方やものを大切に想い出を持って使いたい方にはぴったりかなと思います。
ちなみに、無垢材、木には一つとして同じ木目のものはないので、同じような加工をしたとしても違って見えたり、雰囲気が変わっていくんです。
あとは、職人さんの個性もすごく出るのが無垢材で作る家具の特徴で、機械で均一に切れば同じカットですが表面や角をかんなで削った家具には個性が様々に滲み出てきます。
家具がお好きな方はお気に入りの職人さんをつけるのも実は楽しいポイントだったりするのかなと思っていますよ。
家具職人のやりがい
ー 家具職人をしててのやりがいはどこでしょうか?どんな時に実感しますか?
やっぱり、お引き渡しの時のお客様の喜ぶ顔を見るのが本当に嬉しいです。そのあとのご飯は最高に美味しいです。
意外と依頼で多いのが修理やリメイクだったりするので、そのお困りごとを解決してお届けできるっていうのは本当にやっててよかったなと思う事ですね。
もう本当に、喜んでもらえることが一番です。
大川さんの今後の展望
ー ありがとうございます。すでに幅広く家具つくりや修理をされていますが、これから創っていきたいものや展望みたいなものってありますか?
オリジナル家具を作っていきたいなと思っています。基本的に今は、オーダーの家具や修理を請け負っているのですが、オーダー家具ってなかなか自分の手元に家具が残らないので、自分の作品って言いにくいところがあって。
形に残るもの、これは「大川さんの家具だよ」って言ってもらえるようなプロダクトを作りたいなって思っています。
あとは、少し先にはなりそうですが海外での展開も考えていますね。自分自身がイギリスのスコットランドで家具を学んで初めて触れたんですよね。ヨーロッパは「古いアンティークの家具」を大事に受け継いで使いますし、建築も古い建物を大事に維持しているんですよね。そんな文化の海外に、ぜひ進出したいなって思います。
最後に
ー ありがとうございました!
今回は、KIJINでも多くの家具つくりや修理に携わってくださっている大川さんにお話を伺いました。普段は代表の石川とよく話をしますが、木への想いや、ものづくりについて楽しそうに話してくださる雰囲気は瓜二つ。
本当に無垢材を愛しているお二人だからこそ、KIJINの家具はお客様に喜ばれる形になっているんだなと実感した時間でした。
今回インタビューをさせていただいた大川さんのKIJINでの制作事例はこちらからぜひチェックしてみてください。