【Yチェアの選び方】オーク材とビーチ材はどっちが良い?

Yチェアの素材選びで最も重要なのは、「木目の好み」「経年変化の楽しみ方」「予算」の3点です。

オーク材は力強い木目と深みのある経年変化が魅力で、重厚感を求める方に最適です。

一方、ビーチ材はきめ細かい木目と滑らかな触り心地が特徴で、明るく爽やかな空間づくりに適しています。価格差は約3〜5万円あり、4脚購入する場合は約15〜20万円の差額が生じるため、予算と相談しながら選ぶことが大切です。

本記事では、Yチェアのオーク材とビーチ材の選び方について詳しく解説します。

Yチェアとは?

1950年の発表以来、70年以上にわたり世界中で愛され続けている北欧家具の代名詞がYチェア(CH24)です。

デンマークの巨匠ハンス・J・ウェグナーがデザインし、カール・ハンセン&サンで製造されたこの椅子は、日本でも1962年から販売が開始され、現在まで不動の人気を誇っています。

以下では、Yチェアの基本情報、デザインの背景、そして人気の理由について詳しく解説します。

Yチェアの基本情報

Yチェアの正式名称は「CH24」で、「ウィッシュボーンチェア」とも呼ばれています。この愛称は背もたれのY字型パーツに由来しており、鳥の叉骨(wishbone)に似た形状から名付けられました。

椅子の寸法は、座面高が標準タイプで約45cm、低めのタイプで約43cmの2種類が用意されています。

背もたれの高さは約76cmで、アーム部分の高さは約68〜70cmです。素材は木製フレームとペーパーコードの座面で構成され、すべて天然素材が使用されています。

製造工程では100以上の工程を経て、熟練した職人が約120mものペーパーコードを1時間近くかけて編み上げます。

デザインと素材の背景

ウェグナーは1943年から1945年にかけて、中国の明代の椅子「圏椅(クワンイ)」にインスピレーションを受けた一連の椅子をデザインしました。

Yチェアはこのシリーズの集大成として1949年に誕生し、東洋の伝統と北欧モダニズムを融合させた革新的なデザインとなっています。

Y字型の背もたれは成形合板で製作されており、伝統的なダイニングチェアの硬く重厚なバックレストのイメージを覆す、快適かつミニマルな印象をもたらしました。

アームから背もたれにかけては「曲木加工」で成形され、優しく身体を包み込むフォルムが実現されています。

1949年、カール・ハンセン&サンの経営者ホルガー・ハンセンはウェグナーの才能に着目し、協働を開始しました。

わずか3週間の滞在で、ウェグナーはCH22、CH23、CH24、CH25の4つの椅子をデザインし、これらは後にデニッシュモダンを代表するデザインとなりました。

Yチェアの人気の理由

Yチェアがこれほど長く愛される理由は、主に3つの要素に集約されます。

第一に、シーンを選ばないデザイン性があります。北欧生まれでありながら、シンプルゆえに和室にも似合い、モダンからナチュラルまであらゆるインテリアスタイルに調和します。

第二に、優れた座り心地が挙げられます。座面のペーパーコードはお尻をやさしく受け止め、程よい柔らかさで長時間座っても疲れにくい設計です。

背もたれは絶妙な角度と形状で背中にフィットし、ラウンド型のアームは腕を置いてリラックスするのに適しています。

第三に、一生モノの耐久性です。

適切なメンテナンスを行えば何十年も使用でき、ペーパーコードの張り替えも可能です。

20年以上愛用しているユーザーも珍しくなく、世代を超えて受け継がれていく価値があります。

 

Yチェアのオーク材とビーチ材の違い

Yチェアを選ぶ際、最も悩むポイントがオーク材とビーチ材の選択です。

両者は広葉樹という共通点を持ちながら、木目、経年変化、手触りにおいて明確な違いがあります。以下では、それぞれの特性を詳しく比較します。

素材の特性と魅力

オーク材は、ブナ科コナラ属の落葉広葉樹から採取される高級木材です。高い耐久性と耐水性を備え、独特の「虎斑(とらふ)」と呼ばれる木目模様が最大の特徴です。

材質は硬く重厚で、タンニンを含むため防虫効果もあります。床材やテーブルによく使われる馴染みのある木材でもあり、力強い表情がインテリアのアクセントとして効果的です。

ビーチ材は、きめ細かい木目と淡いピンクがかった乳白色が特徴的な木材です。日本語では「ブナ材」とも呼ばれ、硬度が高くしなやかさも併せ持つため、曲げ加工に最適です。

Yチェアのアームから背もたれにかけての美しい曲線は、ビーチ材のこの特性を活かして実現されています。

表面は驚くほど滑らかで、北欧家具の素材として古くから重宝されてきました。

経年変化の違い

木材の経年変化は、Yチェアを長く愛用する上で重要な要素です。

オーク材は時間の経過とともに黄味がかった濃い茶色へと変化し、深みのある味わい深い雰囲気を醸し出します。特に光に当たる部分は、より顕著な色の変化が見られ、使い込むほどに風格が増していきます。

一方、ビーチ材はチェリー材のような赤っぽい黄色に変化していきます。ただし、オーク材と比較すると経年による色の変化は比較的少なく、初期の明るい色調を長く保つ傾向があります。明るい雰囲気を維持したい方にはビーチ材が適しています。

手触りと見た目の違い

手触りにおいては、両者の差は明確です。オーク材は木目が荒くはっきりとしているため、木らしい質感と硬さを感じられます。一方、ビーチ材は目が詰まっており、驚くほど滑らかで、思わず撫でたくなるような触り心地です。

見た目では、オーク材は木目や色の主張がはっきりしており、存在感のある印象を与えます。ビーチ材は木目や色の主張が控えめで、どんな雰囲気の部屋にも違和感なく馴染むため、インテリアの調和を重視する方に適しています。

Yチェア選びのポイント

Yチェアを購入する際は、素材だけでなく価格、仕上げ方法、コストパフォーマンスも重要な検討材料です。以下では、購入時に押さえておくべき3つのポイントを解説します。

価格の比較

2024年1月の価格改定以降、Yチェアの価格は樹種と仕上げによって大きく異なります。

素材・仕上げ

参考価格(税込)

ビーチ材ソープ仕上げ

約100,100円〜111,100円

ビーチ材オイル仕上げ

約110,000円

オーク材ソープ仕上げ

約136,400円〜146,300円

オーク材オイル仕上げ

約146,300円〜156,200円

ウォールナット材オイル仕上げ

約227,700円〜243,100円

ダイニング用に4脚購入する場合、ビーチ材ソープ仕上げとオーク材オイル仕上げでは、その価格差は約20万円にもなります。複数脚の購入を検討している場合は、この価格差を十分に考慮することが重要です。

オイルとソープ仕上げの選択

ソープ仕上げは、無香料・無着色の石鹸を使用した仕上げ方法です。木の質感そのものを最も感じられる仕上げで、自然な白さと木本来の風合いを楽しめます。特にビーチ材の白っぽい色味を活かし、清潔感のある明るい空間を演出します。

オイル仕上げは、乾性オイルを木部に染み込ませる方法です。ソープ仕上げに比べて濡れ感のある見た目になり、木目がはっきりと際立ちます。汚れが目立ちにくいというメリットもあり、小さなお子様がいる家庭では扱いやすい選択肢です。

汚れのつきにくさ・目立ちにくさは、ラッカー仕上げ→オイル仕上げ→ソープ仕上げの順となるため、使用環境に応じて選択することをおすすめします。

コスパ重視で選ぶ時の注意点

コストパフォーマンスを重視する場合、ビーチ材ソープ仕上げが最もおすすめです。約10万円という価格帯は、オーク材と比較して約3〜5万円安く、4脚購入すれば15〜20万円もの差額が生じます。

ただし、価格だけで判断せず、以下の点も考慮してください。

  • メンテナンスの手間:ソープ仕上げは初期段階で4〜6週間に1回程度の定期的なケアが必要です

  • 経年変化の好み:ビーチ材は変化が少ないため、深みのある変化を楽しみたい方はオーク材が向いています

  • 既存の家具との調和:テーブルやフローリングの色味との相性も重要です

Yチェアとインテリアの調和

Yチェアは単体でも美しい椅子ですが、他の家具やインテリアとの調和によって、その魅力はさらに引き立ちます。以下では、北欧デザインとの相性、スペース計画、色合いの選び方について解説します。

北欧デザインとの相性

Yチェアは北欧デザインの象徴であり、同じ北欧スタイルの家具との相性は抜群です。カール・ハンセン&サンのBA103テーブルは、Yチェアと合わせることを考えて作られており、共通する点が多く見られます。

また、同じハンス・J・ウェグナーがデザインしたCH23(アームレスチェア)やPP68との組み合わせも、統一感のある空間を演出できます。異なるデザイナーの椅子でも、J39(シェーカーチェア)やJ80のようにペーパーコードを使用した椅子は、素材の統一感から調和しやすい組み合わせです。

和室や畳のある空間にも、Yチェアのシンプルなデザインは意外なほど馴染みます。木のフローリングはもちろん、モダン、ナチュラル、和モダンなど、幅広いインテリアスタイルに対応できるのがYチェアの大きな魅力です。

スペースに合ったサイズ感

Yチェアはアームチェアのため、購入前に必ず設置スペースを確認してください。アーム部分が約68〜70cmあるため、テーブルの天板下に完全に収めることはできません。

必要なスペースの目安は以下の通りです。

  • テーブルから椅子後方まで:約75〜80cm

  • 人が通れる幅:約60cm以上

  • 椅子を引いて座るスペース:約50cm

テーブル選びでは、天板下の高さ(幕板の有無)、脚の太さや位置も確認が必要です。アームがテーブルの下に入らない場合があるため、テーブルの脚が四隅にあるタイプが相性良好です。

色合いの選び方

素材と仕上げの組み合わせによって、Yチェアの色味は大きく変わります。

明るい空間を作りたい場合は、ビーチ材のソープ仕上げまたはホワイトオイル仕上げがおすすめです。初期の明るい色調を長く保ち、空間を広く見せる効果もあります。

落ち着いた空間を演出したい場合は、オーク材のオイル仕上げやスモークドオイル仕上げが適しています。経年変化による深みのある色合いが、重厚感のある雰囲気を作り出します。

同じ空間にオーク材とビーチ材を組み合わせることも可能です。例えば、オーク材のテーブルにビーチ材のYチェアを合わせることで、重厚感と軽やかさのバランスが取れた空間を実現できます。

購入後のメンテナンス

Yチェアを長く美しく使い続けるためには、適切なメンテナンスが欠かせません。仕上げの種類によってケア方法が異なるため、購入前に確認しておくことが大切です。

汚れの取り扱いとケア方法

日常のお手入れは、乾いたきれいな布で拭くだけで十分です。軽い汚れがある場合は、ぬるま湯につけて固く絞った布で拭いてください。強い洗剤や研磨剤入りの洗剤は木材を傷める原因となるため、絶対に使用しないでください。

ソープ仕上げのメンテナンスは、無添加石鹸を削ってお湯に溶かし、泡で木の地肌を優しく撫でる方法です。初期段階では4〜6週間に1回、徐々に頻度を減らしながら行います。乾燥後は400番以上の細かいサンドペーパーで軽く磨き上げると、表面の毛羽立ちが取れて美しい仕上がりが戻ります。

オイル仕上げのメンテナンスは、年に1〜2回、専用の家具用オイルを使用します。使わなくなった布にオイルを少量取り、木目に沿って全体に伸ばし、5〜10分後に綺麗な布で拭き取ります。一晩しっかりと乾かしてから使用してください。

人口家族に最適な座面高さ

Yチェアには座面高45cmと43cmの2種類があります。

  • 身長150cm以上の方:座面高45cmがおすすめ

  • 身長150cm以下の方:座面高43cmがおすすめ

理想のテーブルの高さは、座面高との差(差尺)が27〜30cmになるように選びます。座面高45cmの場合はテーブル高72〜75cm、座面高43cmの場合はテーブル高68〜70cmが最適です。

夫婦で身長差がある場合は、店舗で実際に座って確認することを強くおすすめします。靴を脱いで、できれば10分程度座ってみると、家での使用イメージが湧きやすくなります。

リプロダクト品の注意点

Yチェアのリプロダクト品(模倣品)は、正規品と比較して価格が大幅に安いものの、品質面で注意が必要です。

正規品との違いとして、以下の点が挙げられます。

  • ペーパーコードの質:リプロダクト品はコードが太く、張り方も甘いため、使用中にたるんだり軋む音がすることがあります

  • 背もたれの仕上げ:曲線やエッジが鋭く、長時間使用で背中への食い込みを感じることがあります

  • 耐久性:長期的な価値は低く、10年以上使い続けることは難しい場合が多いです

正規品には、座面裏にカール・ハンセン&サンの刻印が施されており、これが本物を見分ける最も確実な方法です。一生モノの椅子として検討するなら、正規取扱店での購入を強くおすすめします。

実際の体験談

Yチェアの購入を検討する際、実際に使用している方の声は非常に参考になります。ここでは、ユーザーの体験談と、購入時のアドバイスをまとめました。

ユーザーの後悔と満足

Yチェアを購入したユーザーの多くは、座り心地の良さと美しいデザインに高い満足度を示しています。「想像通りの素敵な商品で、動かしは軽く、座り心地はアーム、背もたれ、高さ等言うことなしに最高」という声や、「自然と身体が馴染み、長時間座っていても腰が痛くならない」という評価が寄せられています。

一方で、後悔しないためのポイントとして挙げられるのは以下の点です。

  • テーブルとの高さバランス:アームがテーブルに当たるケースや、差尺が合わず姿勢が悪くなるケースがあります

  • 座面高の選択ミス:標準の45cmが高すぎて足が付かないという声も。身長に合った座面高を選ぶことが重要です

  • 設置スペースの見落とし:アームチェアのためテーブル下に収まらず、通路が圧迫されるという問題も報告されています

20年以上愛用しているユーザーからは、「ペーパーコードを15年目で一度張り替えたが、木部は全く問題ない」「一生モノとして十分な価値がある」という声も多く聞かれます。

店舗での実物確認の重要性

Yチェアは高価な買い物であるため、店舗での実物確認を強くおすすめします。

確認すべきポイントは以下の通りです。

  • 靴を脱いで座る:家での使用を想定し、靴底の高さ分を除いた状態で確認

  • 10分以上座ってみる:短時間では座り心地のフィット感がわからないため

  • 様々な姿勢で試す:食事姿勢、リラックス姿勢、立ち上がりの動作も確認

オーク材とビーチ材を実際に見比べると、木目や色味の違いがはっきりわかります。写真と実物では印象が異なることも多いため、可能であれば両方の樹種を展示している店舗を訪れることをおすすめします。

おすすめの購入方法

Yチェアを購入する際は、正規取扱店を選ぶことが最も重要です。

正規取扱店で購入するメリットは以下の通りです。

  • 最長5年間の保証:カール・ハンセン&サンの正規品には長期保証が付帯

  • アフターサービス:ペーパーコードの張り替えや木部のメンテナンスにも対応

  • 専用クッションのプレゼント:店舗によっては購入特典としてオリジナルクッション(通常16,500円相当)をプレゼント

また、1年間無料保管サービスを行っている店舗もあります。新築やリフォーム中で引越しは先だが在庫があるうちに購入したい場合に活用できます。価格改定が行われる可能性もあるため、タイミングを見て早めの購入を検討することも一つの戦略です。

まとめ

Yチェア選びの最終チェック

Yチェアを後悔なく選ぶために、以下のチェックリストを確認してください。

購入前の確認事項

  • テーブルとの高さバランス(差尺27〜30cmが理想)

  • 設置スペースの確保(アームがテーブル下に収まらない点に注意)

  • 座面高の選択(身長150cm以上は45cm、150cm以下は43cm)

  • 既存の家具やフローリングとの色味の調和

店舗で確認すべきこと

  • 靴を脱いで10分以上座ってみる

  • オーク材とビーチ材の実物を見比べる

  • 仕上げ(ソープ・オイル)の違いを手で触って確認

購入時のポイント

  • 正規取扱店での購入を優先(保証とアフターサービスの安心感)

  • 複数脚購入する場合は価格差を十分に検討

  • メンテナンス用品の準備も忘れずに

オーク材 vs ビーチ材

最終的な選択の指針として、それぞれの素材が向いている方の特徴をまとめます。

オーク材が向いている方

  • 力強い木目と重厚感のある椅子が好み

  • 経年変化による深みのある色合いを楽しみたい

  • 予算に余裕がある(1脚あたり約13〜15万円)

  • 床材やテーブルがオーク系で統一したい

ビーチ材が向いている方

  • 明るく爽やかな空間を作りたい

  • 滑らかな触り心地を重視

  • コストパフォーマンスを重視(1脚あたり約10〜11万円)

  • 北欧ナチュラルスタイルのインテリアが好み

どちらを選んでも、Yチェアは適切なメンテナンスを行えば20年、30年と使い続けられる一生モノの椅子です。価格や見た目の好みだけでなく、ライフスタイルや将来の暮らしをイメージしながら、ご自分に寄り添う1脚をお迎えしてください。

← 前の記事

KIJIN

唯一無二のこだわりにとことん応える家具屋

order salon

唯一無二の家具づくりの相談所

あなたのこだわりを叶えるオーダーメイド家具サロン。

実際に家具や木材に触れながら、こだわりや想いを思う存分話して、唯一無二の家具を一緒につくる相談ができる場所です。

KIJINオーダーメイド家具サロン

東京都中央区日本橋蛎殻町1丁目27−8

【営業時間】
9:00~19:00(年中無休)
※完全予約制となっております。
ご訪問予約はお問い合わせフォームにてご希望の日程をご連絡ください。