セブンチェアは疲れると言われてる理由と対処法

セブンチェアは北欧デザインの傑作として世界中で愛されている椅子ですが、「長時間座ると疲れる」という口コミがあるのは事実です。

実はこの疲労感は、椅子そのものの欠陥というより、座り方やテーブルとの高さの不一致、そして椅子の本来の特性を理解していないことが原因である場合がほとんどです。

本記事では、セブンチェアが疲れると言われる具体的な理由と、その対処法について解説します。

セブンチェアとは

セブンチェアは、デンマークの建築家アルネ・ヤコブセンにより1955年にデザインされた、北欧を代表する名作椅子です。9層のベニヤで構成された成形合板(プライウッド)のシェルが特徴であり、三次元的な曲線を持つデザインは、世界で最も売れたスタッキングチェアとして700万台以上の販売実績を誇っています。

セブンチェアの最大の特徴は、成形合板特有の「しなり」にあります。背もたれに体重をかけた時、ほど良く柔軟にしなることで、体にフィットした自然な座り心地を実現する設計となっています。このしなりは品質の高い成形合板だからこそ実現でき、成人男性が椅子の裏側に乗っても壊れないほどの強度を備えています。標準的な座面高は約43~46cm程度で、一般的なダイニングテーブルとの組み合わせを想定して設計されています。

デザイン性の高さと実用性を兼ね備えたセブンチェアは、個人宅だけでなく、カフェやオフィス、ホテルなど、様々な施設で採用されています。正規品の価格は1脚約60,000~70,000円台と高額ですが、リプロダクト品は1脚約1万円前後で購入できるため、デザイン愛好家から予算重視の消費者まで、幅広い層に支持されています。

セブンチェアは疲れると言われてる理由

セブンチェアが「疲れる」と感じる理由は複数存在しますが、その原因を正しく理解することが、より快適な使用につながります。これから3つの主な理由について詳しく説明します。

その①:座面と背もたれのクッション性がない

セブンチェアが疲れると言われる最大の理由は、クッション性の不足にあります。セブンチェアの標準モデルは、成形合板むき出しの座面と背もたれを採用しており、クッションが一切使用されていません。このシンプルな構造は、デザイン性と軽量性を優先した設計の結果です。

長時間座り続けると、お尻から太ももの部分に体重が集中し、坐骨(ざこつ)と呼ばれる骨が座面に直接当たるため、硬さが顕著に感じられるようになります。特に体脂肪の少ない人や、クッション性を重視する座り心地に慣れた人にとって、セブンチェアの硬さは不快感につながりやすいのです。冬場に座面が冷たく感じたり、夏場に蒸れたりするのも、クッション材がないためです。

その②:テーブルとの高さが合っていない

「デスクワークで使ったら疲れた」という原因の多くは、椅子とテーブルの高さが合っていないことです。セブンチェアの標準的な座面高は約43~46cm程度ですが、これは欧州標準を基準に設計されています。日本で一般的なダイニングテーブルは高さ70~72cmですが、セブンチェアと組み合わせる場合、差尺(テーブルの高さと座面高の差)は27~30cm程度が理想とされています。

高さ72cmのテーブルとセブンチェア(座面高43cm)の差尺は29cmですが、高さ74cmのテーブルなら31cmとなります。差尺が大きすぎたり小さすぎたりすると、肘の角度が不自然になり、姿勢が崩れて腰や肩に負担がかかるため、長時間の使用で疲労しやすくなります。また、座面高が高すぎる場合、かかとが床に着かなくなり、足が浮いた状態になることで、脚全体が疲れやすくなるのです。

その③:浅く座っていることによる背もたれのサポート不足

セブンチェアが疲れると感じるもう一つの重要な理由は、不正な座り方にあります。セブンチェアの背もたれは、お尻を座面の奥まで深く入れ、背中を預けた時に初めてそのしなりが機能する設計になっています。しかし、浅く座ると背もたれのサポートが得られず、体重がお尻の坐骨に集中します。

この場合、どんな名作椅子でも疲れて当然です。セブンチェアは「だらしない座り方を許容してくれない」椅子とも言われており、正しい座り方が求められます。人体工学に基づいた設計により、座面のカーブや背もたれが体の自然な姿勢をサポートしてくれますが、これは深く座ってこそ機能するのです。浅く座ると、このサポート機能が活かされず、かえって疲労感が増すことになります。

セブンチェアが疲れてしまう時の対処法

セブンチェアによる疲労感を軽減するには、椅子の特性を理解し、適切な対策を講じることが重要です。以下3つの対処法をご紹介します。

その①:クッションやシートパッドを使用する

最も効果的で実用的な対処法は、クッション材を足すことです。セブンチェア用のシートパッドやチェアパッドを座面に敷くことで、硬さが大幅に軽減され、快適性が向上します。これらのパッドは、セブンチェアのフォルムに合わせて設計されたものが多く、デザインを損なうことなく座り心地を改善できます。

フリッツ・ハンセン社も公式にこのソリューションを認めており、Mid-Century MODERNオリジナルシートパッドなど、複数の選択肢が市販されています。シートパッドを使用することで、座面が蒸れるのを防ぎ、冬の冷感も軽減されます。座布団やクッションを使うよりも、セブンチェアに最適化したパッドの使用が推奨されています。

その②:テーブルの高さを確認・調整する

テーブルとの高さの不一致が疲労の主要な原因である場合が多いため、高さを適切に調整することが重要です。セブンチェアと組み合わせるテーブルは、高さ72cmが日本人の体型に最も適合するとされています。すでに所有しているテーブルが高さ74cmの場合は、セブンチェアの座面高を高めのモデル(座面高約46~48cm)に変更することで、差尺を調整できます。

机のアジャスター機能がある場合は、高さを微調整することも検討しましょう。適切な高さであれば、肘が直角になり、自然な姿勢を保つことができるため、疲労感が大幅に軽減されます。テーブルと椅子の高さが合っていることは、長時間の快適な使用のための基本条件なのです。

その③:正しい座り方を意識する

セブンチェアの本来の快適性を引き出すには、正しい座り方が不可欠です。お尻を座面の奥まで深く入れ、背中全体を背もたれに預けるよう意識することで、背もたれのしなりが機能します。背もたれのカーブが腰や背中に心地よくフィットし、自然な脊椎のS字カーブをサポートするため、疲労が軽減されます。

椅子に座る際には、猫背や浅座りを避け、骨盤を立てた状態で深く座ることが重要です。

セブンチェアを購入する際の注意点

セブンチェアの購入を検討する際には、事前に複数の要点をチェックすることで、後悔を防ぐことができます。

その①:座り心地の選び方

セブンチェアは複数のバリエーション仕様から選択でき、クッション性の度合いを調整することが可能です。最もシンプルな板座タイプは、デザインを最大限に楽しめますが、クッション性はありません。少しでもクッション性を求める場合は、フロントパディング仕様(座面前部のみにウレタンクッションを施した仕様)を選ぶと、成形合板の美しさとクッション性を両立できます。

最大のクッション性を求める人には、フルパディング仕様(シェル全体をウレタンで覆った仕様)がおすすめです。フルパディング仕様は、ウレタンクッションの厚みが増し、最も快適な座り心地が得られます。しかし、背もたれのしなりという特徴的な機能は板座タイプに比べて損なわれるため、自分の優先順位を明確にした上で選ぶことが重要です。

その②:体型に合わせた座面高の選択

セブンチェアの座面高は複数のバリエーション(43cm、45cm、46~48cm程度)があります。身長が150cm前後の小柄な人は、座面高43cm程度のモデルを、平均身長の人は45cm程度、大柄な人は46~48cm程度のモデルを選ぶのが目安です。購入前に実物に座って試座し、かかとが床にしっかり着くか、肘の角度が直角になるかを確認することが重要です。

体型や脚の長さによって、感じる座り心地は大きく異なります。オンラインショップで購入する場合も、返品対応が可能かどうか、あらかじめ確認しておくと安心です。

その③:正規品かリプロダクト品かの判断

セブンチェアには、フリッツ・ハンセン社の正規品と、デザインを模倣したリプロダクト品があります。正規品は1脚約60,000~70,000円台と高額ですが、品質と耐久性、保証の充実度が異なります。一方、リプロダクト品は1脚約1万円前後と手頃な価格が魅力です。

予算や使用期間、デザイン性への拘りなどを総合的に判断した上で、購入を決定することが重要です。長期間の使用を想定する場合や、確実な品質を求める人には正規品がおすすめですが、デザインを気軽に試してみたい人や、予算に限りがある人にはリプロダクト品も検討の価値があります。

まとめ

セブンチェアが「疲れる」と言われるのは、椅子そのものの欠陥ではなく、クッション性の不足、テーブルとの高さの不一致、そして不正な座り方が主な原因です。シートパッドの使用、テーブルの高さ調整、正しい座り方の実践という3つの対処法を講じることで、セブンチェアの本来の快適性を引き出すことが可能です。

購入時には、自分の体型に合わせた座面高の選択、クッション性のバリエーションの検討、そして可能であれば試座による確認を心がけることが重要です。セブンチェアは、北欧デザインの傑作として、70年以上の歴史を持ちながらも世界中で愛され続けている椅子です。正しい理解と適切な対策により、長く快適に使用できるアイテムとなるでしょう。

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