スワンチェアの本物を見分ける方法!偽物は存在する?購入時の注意点も紹介

北欧デザインの巨匠、アルネ・ヤコブセンが1958年にデザインした「スワンチェア」。その名の通り、白鳥が羽を広げたような優美な曲線は、半世紀以上経った今も世界中の人々を魅了し続けています。

しかし、その人気の高さゆえに市場には数多くの「偽物(コピー品)」や「リプロダクト品」が溢れているのが現状です。

 「憧れのスワンチェアを手に入れたいけれど、偽物を掴まされるのが怖い」 「ヴィンテージショップで見つけた個体は本物なのだろうか?」

そんな不安を抱える方のために、本記事ではプロの視点から、フリッツ・ハンセン社の正規品(本物)と模倣品を見分ける決定的なポイントを解説します。

タグの年代別特徴から、縫製の細部に宿るクラフトマンシップの違いまで、これを読めば自信を持って「本物」を選べるようになります。

スワンチェアとは

スワンチェアは、1958年にデンマークの建築家アルネ・ヤコブセンが、コペンハーゲンの「SASロイヤルホテル」のロビーやラウンジのためにデザインしたラウンジチェアです。

 当時としては画期的な、直線を持たない「曲線のみ」で構成された有機的なフォルムが最大の特徴です。硬質発泡ポリウレタンのシェルにフォームを張り、布や革で覆うという当時最新の技術を用いて作られました。

製造はデンマークの家具メーカー「フリッツ・ハンセン社(Fritz Hansen)」が一貫して行っています。

同時期にデザインされた「エッグチェア」と共に、北欧モダンデザインのアイコンとして、MOMA(ニューヨーク近代美術館)など世界の主要な美術館に収蔵されています。

レプリカのスワンチェアは存在する?

結論から申し上げますと、スワンチェアのレプリカ(ジェネリック製品)は市場に大量に存在します。

その理由は、意匠権の保護期間の問題と、圧倒的な需要の高さにあります。 日本では意匠権の保護期間(20年〜25年)が終了した製品のデザインを復刻して販売すること自体は違法ではないとされるケースがあり、多くの業者が「リプロダクト品」として安価なコピー商品を製造・販売しています。

しかし、これらはフリッツ・ハンセン社が製造する「正規品(本物)」とは明確に異なります。 正規品は、ヤコブセンが意図した厳密な設計図、厳選された素材、そして熟練の職人による手縫いの仕上げによって作られています。

一方、レプリカ品は外見こそ似せていますが、座り心地、耐久性、そして資産価値において雲泥の差があります。中には「本物」と偽って販売される悪質なコピー品も存在するため、購入時には正しい知識で武装する必要があります。

スワンチェアの本物を見分ける方法

スワンチェアの本物と偽物を見分けるには、いくつかの決定的なチェックポイントがあります。ここでは、誰でも確認できる3つの見分け方を解説します。

その①:タグ・刻印・シリアルナンバーを確認する

最も確実で簡単な方法は、座面の裏側やベース部分にある「タグ」や「刻印」を確認することです。

本物のスワンチェアには、年代ごとに特徴的なラベルや刻印が必ず施されています。 フリッツ・ハンセン社は偽造品対策に力を入れており、製造年代によってタグのデザインを変えています。

これらの有無とデザインを確認することが、真贋判定の第一歩です。

具体的なチェックポイント

2020年以降のモデル: 黒と白を基調としたタグが付いています。新しいロゴデザインが採用されており、QRコードやシリアルナンバーで製品登録が可能になっています。

2011年〜2019年のモデル: ダークブラウン(茶色)のタグが付いています。「Republic of Fritz Hansen」のロゴが記載されています。

2010年以前(2000年代後半): 赤いタグ(通称:赤タグ)が付いているのが特徴です。この時期から偽造品対策が強化されました。

 ヴィンテージ(1960〜90年代): 古いものにはタグではなく、ベース(脚)のシリンダー部分や裏面に「FH Made in Denmark」という刻印や、ホイルステッカーが貼られています。

古い刻印があるものはヴィンテージとしての価値も証明されます。 逆に、これらのタグや刻印が一切見当たらない場合、あるいは「Made in China」等の表記がありフリッツ・ハンセンの記載がない場合は、リプロダクト品である可能性が極めて高いと言えます。

その②:縫製と張り地の「継ぎ目」を見る

2つ目のポイントは、ファブリックやレザーの「縫製処理」です。ここに本物の職人技が現れます。

本物のスワンチェアは、機械的なステッチではなく、熟練の職人が一針一針手作業で縫い上げています。

 スワンチェアのような複雑な曲面に生地を美しく張り込むには、高度な技術が必要です。本物は、生地の継ぎ目が目立たないよう、手縫い(ハンドステッチ)で仕上げられています。 具体的なチェックポイント

本物: 曲線部分の縫い目は非常に繊細で、生地同士が吸い付くように合わさっています。特にアームのカーブ部分において、生地が変に波打ったり、シワが寄ったりしていません。

これを「インビジブルステッチ(見えない縫い目)」に近いレベルで仕上げています。 偽物・

リプロダクト品: コストカットのため、ミシン縫いが採用されていることが多く、縫い目が粗く目立ちます。

さらに決定的な違いとして、座面の裏や背面に「ファスナー(ジッパー)」が付いているものは、ほぼ間違いなく偽物です。

 本物のスワンチェアの張り地は、ファスナーで着脱するような安易な構造にはなっていません。

その③:ベース(脚)の質感と形状を見る

3つ目のポイントは、チェアを支える脚部(スターベース)の素材と仕上げです。

本物のベースは、継ぎ目のない「アルミ製サテン仕上げ」であり、安っぽい光沢はありません。 ヤコブセンのデザイン哲学は細部に宿ります。

脚部も全体の美しさを損なわないよう、マットで上品な質感に仕上げられています。 具体的なチェックポイント

本物: 「サテンポリッシュ仕上げ」と呼ばれる、少しマットで滑らかな質感のアルミニウム製です。

溶接跡が目立たず、一本の金属から削り出したような一体感があります。

また、床に接するグライズ(脚先のパーツ)も、時代によって仕様は異なりますが、現在は黒い合成樹脂製の専用パーツが使われています。

偽物・リプロダクト品: 多くの場合、コストの安い「スチール製クロームメッキ」が使われています。

鏡のようにピカピカと光沢が強すぎるのが特徴です。また、シェルの回転機構が粗悪でガタつきがあったり、座った時に高さが変わってしまう(ガス圧昇降機能がついている等)ものは、オリジナルにはない機能ですので偽物です(※スワンチェアに高さ調整機能やキャスター付きのオフィス仕様も存在しますが、ラウンジチェアとしての一般的なモデルには昇降機能はありません)。

スワンチェア購入時のポイント・注意点

本物のスワンチェアは、新品であれば60万円以上、ヴィンテージでも数十万円する高額な家具です。

購入してから後悔しないために、押さえておくべき3つの注意点を紹介します。

その①:正規販売店または信頼できるヴィンテージショップを選ぶ

これから3つの重要な購入ポイントを説明します。

まず1つ目は、購入先の選定です。 最も安全なのは「フリッツ・ハンセン正規販売店」で購入することです。

 新品を購入する場合、正規代理店であれば100%本物であり、最長20年の保証(プレミアムチェック登録時)など、手厚いアフターサポートが受けられます。

フリッツ・ハンセンの公式サイトには正規販売店のリストが掲載されています。 中古やヴィンテージを探す場合は、北欧家具の専門知識を持つ信頼できるディーラーを選びましょう。

ネットオークションやフリマアプリでの個人間取引は、出品者自身が偽物と気づいていないケースも多々あるため、鑑定書や当時の領収書がない限り避けるのが無難です。

「並行輸入品」等の名目で、相場より極端に安い価格(例:新品で10万円〜30万円台)で販売されているサイトも警戒が必要です。

その②:ヴィンテージ品は「ウレタンの状態」を確認する

2つ目は、ヴィンテージ特有のリスク管理です。

 古いスワンチェアは、内部のウレタンフォームが経年劣化で硬化・粉末化している可能性があります。

1960〜70年代のヴィンテージは、希少価値が高い一方で、内部のクッション材が寿命を迎えていることが多いです。

ウレタンが劣化すると、座り心地が悪くなるだけでなく、座るたびに内部から粉が出てきたり、最終的にはシェルの中で生地がたるんで美しいフォルムが崩れてしまいます。

 購入前には、実際に座ってクッションの弾力を確かめるか、ショップに対して「ウレタンの打ち直し(交換)済みか」「生地の張り替えを行っているか」を必ず確認してください。安価なヴィンテージは、購入後に高額な張り替え修理が必要になるケースが多いため、トータルコストで考えることが重要です。

その③:メンテナンスと修理の可否を理解する

3つ目は、将来的なメンテナンス性についてです。

本物のスワンチェアは、張り替えや修理を行いながら一生、あるいは世代を超えて使い続けることができます。

 フリッツ・ハンセンの正規品であれば、長年の使用で生地が擦り切れたり汚れたりしても、メーカーや専門業者で張り替え修理(リウホルスター)が可能です。

これは、ベースとなるシェルの耐久性が非常に高いからこそできることです。 一方、レプリカ品は修理を前提に作られていません。シェル自体の強度が不足していたり、構造が正規品と異なるため、専門業者でも修理を断られるケースがほとんどです。「使い捨て」ではなく「資産」として家具を持ちたいのであれば、初期投資は高くても、修理可能な正規品を選ぶことが、長い目で見れば経済的かつサステナブルな選択と言えます。

まとめ

スワンチェアの本物を見分けるポイントは、主に「タグ・刻印」「縫製の質」「ベースの仕上げ」の3点に集約されます。

タグ・刻印: 年代別のラベルやシリアルナンバーを確認する。 縫製: 手縫いの美しい仕上げか、ファスナーがないかを確認する。

 ベース: サテン仕上げのアルミ製か、ピカピカのメッキではないかを確認する。

市場には精巧なコピー品も出回っていますが、細部のクラフトマンシップには決定的な違いが現れます。

スワンチェアは単なる椅子ではなく、芸術作品としても評価される家具です。

その真価は、本物だけが持つ圧倒的な座り心地と、時を経ても色褪せない美しさに宿っています。

 安価なレプリカで妥協するのではなく、歴史と技術が詰まった本物を手に入れることは、日々の生活の質を格段に高めてくれるはずです。

ぜひこの記事を参考に、あなただけの一脚を見極めてください。

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